・・・・・・・・・・・第1話・・・・・・・・・・・
ある晩秋の頃、亀仙村(かめせんむら)では大きな悩みを抱えていた。
村の高齢化が進み、数百年続いている伝統の祭が開催できるどうかの危機に陥っていた。 年々、村から若者達が減って行くし、わずかに残った若者も参加を渋った。 それもそのはず、厳寒期にふんどし姿で相撲をとらなければいけないし、しかも相撲に勝てば 滝に入らなければならず、まるで『荒行』のような祭にそっぽを向いたのも仕方がなかった。 そこで大昔から続いた参加資格の「成人男子」から、ついに「成人男女」へと変更が行なわれ た。 しかし大きな問題がひとつあった。 大昔からの風習で、参加者は「ふんどし姿」にならなければならなかったのだ。 男性は例年のことだから良いとして、果たして女性にふんどし姿を求められるのだろうか。 祭の実行委員会は賛否入り乱れ紛糾した。 村長で委員会会長も兼ねる「亀 仙太郎」氏はついに決断をくだした。 「やはり風習だし、まさか女性だけ水着という訳にも行かないだろう。男女関係なくふんどし姿 になってもらおう」ということになった。 だが、果たして女性が集まるのだろうか。 委員会の不安は募った。 そこで秋頃からこの行事を広くPRすることになった。 『亀仙村 女性行者募集中!ただしふんどし姿が条件。参加者には豪華景品あり♪』 女性参加者には「翌年の松茸狩り1日無料券」「キャンプ場3日間無料券」「茄子1年分」等が 贈られると言うのも実にユニークなアイデアであった。 この噂はたちまち全国的に広がった。 そして予想とは反対に、信じられないほどの多くの応募者があった。 女A「面白そうだわ」 女B「『行』ってどんなことをするんだろう?ぜひやってみたいわ」 女C「別に全裸になる訳じゃないし、ふんどし姿って水着と同じようなものじゃないの」 という声が聞かれた。 荒行をやってみたいと思っている女性は、ついに申し込みが100人を超えてしまった。 「うわあ、多すぎる。いくら何でも100人も必要ないのに・・・」 委員会では嬉しい悲鳴が飛び交った。 参加者は10人ほどで良いのだ。 そこで仕方なく簡単な面接試験が開かれ、女行者10人が決められた。 応募者の中には野々宮ありさ(21歳)の姿もあった。 ありさはふだんモデルの仕事をしているが、元々好奇心旺盛な女性で、こういったイベントに は大いに興味を示した。 ありさ「にゃあ☆ふんどし姿?面白そうだにゃん☆ Tバックとそんなに変わらないのでは?☆ 楽しみだにゃあああああ☆★☆まったけ〜♪ まったけ〜☆★☆茄子1年分〜☆★☆」 ありさにはふんどし姿になることよりも、その後に与えられる景品のことしか眼中になかった。 祭の2週間前に事前説明会が行われた。 面接で選ばれた女性達はさすがに美女揃いであった。 今時の女性は、別にふんどし姿くらいでは驚かないようで、緊張もそれほどないように見受け られた。 事前説明会ではふんどしの締め方を、着衣の上から何度もレッスンした。 ふんどしと言っても色々種類があるが、ありさの締めたものは「六尺ふんどし」といって、水泳 や祭に使われる最もポピュラーなものであった。 |