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巴絵の甘美な夜



・・・・・・・・・・・序章・・・・・・・・・・・

その日、巴絵が会社の同僚との飲み会から帰宅してみると、独り住まいのマンションに一通のダイレクトメールが届いていた。
飲んだ後の気だるい快い疲れを感じながら着替えをしようと、そのDMを開きながらスーツを床に落とす巴絵・・・・・
着替えをする巴絵の手が急に止まった。
そのDMには、けばけばしい色彩のアダルトグッズが、まがまがしい形でページいっぱいに広がっていた。


今日の飲み会の後、隣に座っていた同僚の男性に巴絵は誘われていた。
彼と二人きりになる勇気のない巴絵は誘いを断って帰宅したのだが、それは自分のカラを破って自分の本性をさらけだし、本当の自分を見られるのが怖かったからなのだ。
社内ではマジメで通っている巴絵であるが彼女の心の奥では
「わたしはこんなイイコチャンじゃないのよ
たくましい男性に荒々しい愛撫を受けて乱れる自分を・・・・
そんなことになったらどうなっちゃうのか、いつも想像してるんだから」
という願望のようなものを持ち続けていた。

実際、巴絵の下着の趣味は、同僚の女性たちにうっかり見せられないほど派手なものだ。
色はもちろん、素材はまずナイロン系で、光沢のあるものが好きだった。
形は、やっと肝腎な部分が隠れる程度の、ごく小さなものがほとんどで、中には全くヘアを隠さないほど小さいものまである。
今日も着替えの途中でスーツを床に落とした後に現れた巴絵の下着は、テラテラ光沢のあるサテン地の真っ赤なTバックだった。
しかも極度に布の面積が小さく、前も後ろも外出帰りの今は、ほとんどヒモのような状態になっていた。
パンストで締め付けられるのを嫌う巴絵は、いつもストッキングはガーターで吊るタイプを愛用しているのだが、これで通勤の電車で痴漢などに遇おうものなら、悲惨なことになるのは自分でもよく承知している。


手にとって開いたDMを見入る巴絵の顔に変化が現れた。
「買ってみようかな・・・・通販だし、アダルトショップみたいに店員に顔を会わせる必要ないんだし・・・・」



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